【嫌われ松子の一生】おうちへ帰るための旅
こんにちは。
インチャセラピストの、くまりんごです。
つい、何度も見てしまう映画に「嫌われ松子の一生」という作品があります。
こちらは2006年公開です。
原作は山田宗樹さん。
映画は、「告白」「来る」「下妻物語」などを手掛けた中島哲也監督による作品です。
主人公・川尻松子を演じるのは中谷美紀さん。
元は真面目な中学校教師だった彼女が転落し、過酷な運命に翻弄されてゆく様を時にシリアスに、そしてコミカルに、中谷さんは実に見事に演じていらっしゃいます。
松子の人生は悲惨極まりないのですが、中谷さん見たさに「嫌われ松子の一生」をつい、見ちゃうんですね。
なんか、定期的にね。
音楽も映像もセンスいいからだと思います。
登場人物もみんな、めちゃくちゃ個性的ですし。
以下、あらすじですがネタバレも含みます。
主人公・川尻松子は、三人きょうだいの長女として、ごく普通の家庭に生まれ育ちました。
舞台となる時代は、昭和40年代の高度成長期。
彼女は明るく美しく、いつも朗らかで生徒にも人気のある教員でした。
しかし生まれつき病弱な妹がいた為に、父からの愛を思う存分受けられなかった、という悲しさを抱えています(母からの愛の欠乏、ではないんですね)。
修学旅行先での、生徒による旅館での盗難事件をきっかけに、彼女は教職を追われ、荒んだ生活の中で男性遍歴を繰り返します。
「自分だけを愛してくれる人」を、ひたすらに追い求めた松子の短い人生。
彼女は、優しい理容師の男性と一時は幸せを掴みかけますが、その幸福も泡と消え失せます。
「不幸」というより「男運が悪い」としか言いようがないのですが、付き合う男性からどんなに粗末にされても殴られても、「ひとりぼっちでいるよりはマシ」として、尽くそうとする松子。
それはまさに「父に愛されたい一生」だったと思います。
健康に生まれても、父の望む職業についても、父の関心はいつだって「妹のこと」。
その父に愛されなかったことから、努力し心の隙間を埋めようとし、しかし結局うまくいかず、彼女はとうとう犯罪者にもなります。
「愛されたい」のは、そこに「憎しみ」があるからです。
実家を飛び出してから数年後、彼女は恋人である小野寺という男性を、口論の末に刺殺します。
彼が、自分を手ひどく裏切っていたからです。
それを知った松子の「怒りのインナーチャイルド」が大爆発しました。
倒れた小野寺に、容赦なく何度も包丁を振り下ろす松子。
それは、愛する父が亡くなったあとに起きた出来事です。
小野寺を殺害し、自死にも失敗した彼女は逃亡しますが結局は捕まり、服役することになります。
これには、松子の「父の日記」が関係していると思います。
かつて教職を追われた松子が、「人生が終わった」と思って家を飛び出してから数年。
松子の父は、習慣である日記をつけ続け、その日の終わりには必ず「松子からの連絡なし」という文で締めくくられていました。
ある日、実家にこっそりと戻った時、松子は亡き父の日記を見てしまいます。
「本当は自分も父に愛されていた」と実感する大切な瞬間が訪れますが、結局は「父に申し訳ない」「今の自分ではやっぱり父に愛されない」という理解に。
自暴自棄になっていたところに声をかけてきたのが、松子がのちに殺害することになる小野寺という男でした。
「こんな自分はどうしようもない」と思っているからこそ、自分を粗末に扱うような人間が現れるワケです。
これこそが、引き寄せです。
「男性に粗末にされる」というパターンを持っている松子は、やっぱりというか案の定というか、その小野寺にも裏切られます。
この小野寺の、「松子を捨て他の女性を選ぶ」というあたりに「父と松子と、妹の関係」が反映されています。
「またか!」と思った松子の怒りは、相当なものだったでしょう。
「いつも自分だけが選ばれない、愛されない」という怒りから松子は、とうとうブチ切れます。
小野寺は「父の代わり」に、松子の積年の怒りと憎しみををぶつけられたワケです。
これこそがまさに「インナーチャイルド」なんですね。
そして「怒り」とは本当に、人生を破壊するほどのパワーを持つものだなと思います。
その後、彼女はかつての教え子・龍洋一と再会し同棲を始めます(龍は、中学生の頃からずっと、松子に恋焦がれていました)。
「愛されるよりも愛そう」と、松子は2人の幸せな人生を夢みますが「愛されることが怖かった」という龍によって、思ってもみない裏切りを受けます。
「自分のような人間が松子のそばにいてはいけない」という、これもまた愛なのですが、松子にはそんな龍の気持ちなどわかるハズもありません。
松子はその後「ひきこもり」となり、ゴミの溜まった異常に汚い部屋で暮らすようになります。
そんな荒んだ生活で、美しかった容姿もすっかり別人のようになりました。
「愛してほしい」という願いが叶わず、それならと今度は「愛そう」とした途端、相手から理由もわからず拒絶された松子。
「もう誰も自分の人生には、いれない」と決意した形が「ひきこもり」だったんですね。
彼女は、自分も嫌いで他人も嫌いでした。
そしてある夜、松子は何者かに殺害されます。
「愛することもうまくいかず、愛されることも叶わなかったこの人の人生って・・・」と、気の毒としか言いようがないんですね。
ただ「愛し、愛される男性と一緒に暮らしたかった」だけなのに。
「大好きな父と一緒にいたかっただけ」なのに。
その願いは、いつも叶わないのでした。
本当はめちゃくちゃ悲惨な話なのですが、映像がスタイリッシュなので、そこまで深刻にならないのが救いでした。
松子の人生は「父からの愛」を求めて、最後までうまくいかない人生だったけれど、でも、それもこれもすべては「おうちに帰るための旅」。
彼女に足りなかったものは「自分で自分を愛すること」。
「愛を求めなくとも、自分はすでに愛されている」と気づかせるために、さまざまな男性が松子を傷つけたワケです。
「生き方が間違っているよ」として。
人生とは、「うまくいかないことを、うまくいかせるためのもの」ではなく「うまくいかないことを、受け入れるためのもの」なのかなと思います。
「自分の人生、なんだかうまくいかない、つまらない」と思うそんな時。
「嫌われ松子」が効きますよ。
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