ムーミン谷の11月と冬ごもり
こんにちは。
くまりんごです。
ムーミンたちが冬眠に入る前の物語を描いた、トーベ・ヤンソンさんの「ムーミン谷の十一月」。毎年、この時期になると読み返します。
ちなみに、飯能市のムーミンバレーパークにこないだ、行ってきました。素敵でしたよう。
そろそろムーミンたちは、冬眠に入ってしまいますからね。だから、この物語も早く読んでおかないと、と。
早くしないと、冬が来てしまいますからね。
「冬ごもりの前になると、ムーミンたちは針葉樹の葉っぱをたらふく、おなかにつめこむのよ」
ミムラねえさんは、ふたをあけながら言いました。
「いままでに、いちばんつめこんだのは、ご先祖さまのようね」
引用元:「ムーミン谷の十一月」ヤンソン著/鈴木徹郎訳/講談社文庫
このお話にはスナフキン、ミムラねえさん、ヘムレンさん、ホムサ・トフト、フィリフヨン
カ、スクルッタおじさん、ご先祖さまが登場し、旅に出ているムーミン一家とミイは登場し
ません。
ムーミン一家不在のムーミン屋敷に、それぞれの事情を抱えた登場人物たちが集まり、物語
が展開してゆきます。
みんな個性的なのですが、なんとなく共感してしまうのは、ヘムレンさん。
ヘムレンさんは、ねむい目をこすり、やっと目がさめました。
目がさめきってみると、自分は、やっぱり、いつもの自分です。ちっともかわっていません。
ああ、いやだなあ。もう、ぼくは自分がいやになった。なにか、ぼくの知らない、ちがったものになりたいなあ。
引用元:「ムーミン谷の十一月」ヤンソン著/鈴木徹郎訳/講談社文庫
そうだよねえ、わかるわかる。ムーミン谷の住人にだって、インナーチャイルドがいるんだなあと、どんどん読み進めてしまいます。
秋が深まり、初雪が降りはじめ冬の到来を受ける頃、みんなはお別れの挨拶を交わします。
それまでずっと一緒にいたのになあ、とちょっと寂しくなります。
しかし、あたたかい四月までお別れです。ムーミン谷の本格的な冬がはじまると住人は冬眠し、目が覚めると若返っているそうです。
冬眠で眠っている間は何にもいらないのだから、ほうっておいてもらうほうがいい、と言う
ヘムレンさんに対して、ホムサはこう言います。
でも、ホムサは、目がさめたときにたいせつなのは、ねむっているあいだも、だれかが自分のことを考えてくれていた、ということがわかることなんだ、といいました。
引用元:「ムーミン谷の十一月」ヤンソン著/鈴木徹郎訳/講談社文庫
ホムサ・トフトのこの気づきは、感動的です。眠るとは、実はひとつの「死」でもあります。
暗い冬を超え、春にまた再生するために、彼らは眠ります。
「自分はこの世にひとりきり」と思うより、「誰かが、自分のことを考えてくれている」と
思うこと。
そうして眠りにつくことで、目覚めるときの四月の春の光はまた、素晴らしいものになるの
ではないでしょうか。
それは「互いに誕生を待ち望む」という感覚に近いものかもしれません。
「今、目の前にあるもの」に感謝できる、こういう気持ちが日々を幸せにするのだと思いま
す。ムーミン谷の物語はいつも、私たちを魅了します。
インナーチャイルドとは「過去に抑圧された未解決な感情」のことであり、ざっくり言うと
「傷ついたままの幼い自分」です。
それが癒されないままですと、同じようなイヤなことが起こる「負のぐるぐるぐるループ」
に見舞われます。
それはもちろん、ムーミン谷の住人にだってあるものです。たとえばその一人が、冬の魔物のような灰色のモラン。
彼女(実は女性です)は心の底では光や暖かさを望んでいるのに、誰にも好かれずに恐れられ、どこへ行っても何もかもを凍らせてしまうという悲劇に見舞われています。
ゆえに、永遠に孤独に生きるしかないのです。
「あの人は、火をけしにきたんじゃないの。かわいそうに、あたたまりにきたのよ。でも、あたたかいものは、なんでも、あの女の人がその上にすわると、きえてしまうの。いまは、またきっと、しょげかえっているわ。」
引用元:「ムーミン谷の冬」ヤンソン著/山室静訳/講談社文庫
みんなが恐れるモランに対して、同情的なママやトゥーティッキ。
しかし、同情はするけれど関りはもたないという姿勢です。何もかもを凍りつかせるモランを変えることは、誰にもできないからですね。
しかし、のちにモランの冷たい、氷のような心が溶かされます。
世界にたったひとりぼっちのモランのことを想像し、「もし自分だったら」と考えて行動したムーミンによって。
彼は、カンテラの光を待っているモランのためひとり海岸へ赴くのです。ムーミンはカンテラを持たずに海辺に行きました。モランはそこにいました。
カンテラも明かりもなかったが、モランはムーミンが来てくれたことを喜び、踊りました。
踊り終わったらモランは海辺から海へ遠ざかっていきました。
ムーミンが砂を触ると、普段の通りで硬く凍っていませんでした。
引用元:「ムーミンパパ海へいく」ヤンソン著/小野寺百合子訳/講談社文庫
モランは、初めて他者から思いやってもらえたことで変わりました。
先にも述べた、ホムサ・トフトの言葉にあるように「自分はこの世にひとりきり」と思うより、「誰かが、自分のことを考えてくれている」と思うこと、これが「生きる原動力」になると思います。
灯油は尽きてしまいましたが、ムーミンは、ひとり海岸で待っているであろうモランのことを思いました。
すると、そこにモランがいました。
そんなムーミンとの出会いによって「自分が長年求めていたものは、カンテラの光や温かさではなく、人との心の交流だったこと。そして何より、人と会うことの喜びだったこと」に気づけた瞬間、彼女の「氷の呪い」は解けました。
まさに、インナーチャイルドが癒せた瞬間と言ってもいいと思います。モランが去ったあと、砂浜の砂は凍っていませんでした。
「気づき」こそが治癒をもたらす、すばらしい場面だと思います。
モランほどではないにしても、心が冷えていると、身体も冷えやすくなります。あなたのインナーチャイルドも癒して、心を軽く・あたたかくしてゆきましょう。
#インナーチャイルド #埼玉県 #川越市 #鶴ヶ島市 #坂戸市 #東松山市 #日高市 #CHhom #由井寅子 #JPHF認定インナーチャイルドセラピスト #不登校 #強迫神経症 #パニック障害 #HSP #フラワーエッセンス #インナーチャイルドセラピー #不登校 #毒親 #ムーミン #ムーミンバレーパーク #トーベ・ヤンソン #モラン
0コメント